カテーテルからの逆血確認の重要性

脳血管内治療はカテーテルを誘導しなくては始まりません。
カテーテル誘導時の基本に逆血確認という原則がありますが、なぜ必要なのか具体例を交えて考察します。

カテーテルからの逆血確認

以下のことは教科書にもよく書かれているし、先輩たちから教わると思います

カテーテルの誘導を行ったあと、次の操作にうつる前に必ずカテーテルから逆血をしていることを確認しましょう

なぜ必要なのかを実例写真を挙げて考察します。

逆血確認をするタイミング

  • ガイディングカテーテルなど太めのカテーテルを先進させたあと
  • 中間カテーテルを誘導後
  • マイクロカテーテルを誘導したあと

などがカテーテルの逆血確認タイミングになります。

太めのカテーテルの逆血確認

血管内治療を行う際にまずガイディングカテーテルを目的血管の近位部へ誘導させることがすべての始まりになります。

多くの場合はガイディングカテーテルの内腔に細めのカテーテルなどを入れたco-axial もしくはtri-axial systemで誘導していくことになります。

ガイディングカテーテルを進めて位置を決めたらインナーカテーテルとガイドワイヤーを抜去して、Yコネクターなどを取り付けるのでその際に必ず逆血確認を行うことになります。

誘導までの間にガイディングカテーテル内に多く血栓がある可能性があるため十分量の逆血をさせて血栓を除去しヘパリン加生食でフラッシュをすることが重要です。

上記の途中で逆血が十分でない場合は多くの場合屈曲や壁あたりによりウェッジしてしまっているので速やかに逆血するまでカテーテルを引き戻し、フラッシュ操作後に先端の確認造影が必要です。

中間カテーテルの誘導後

Cerulean(DD6含む)やTacticsなど中間カテーテルの選択肢が増え、マイクロカテーテルの安定性、誘導性確保のために中間カテーテルは頻用されるようになっています。

DD6などは4Frの普通のインナーカテーテルも使えますが、それ以下の径の中間カテーテルの場合はマイクロカテーテルをインナーにして進めていくことになります。(先端を曲げておけば0.035inchのワイヤーだけで誘導することも可能ですが)

その際多くの施設では中間カテーテルはヘパリン加生食による持続灌流ラインを既にに付けた状態となっていると思います。

この場合中間カテーテルの位置が決まったあとにすぐに逆血確認されるわけではないのが問題です。

4Frの中間カテーテルやそれ以下のTacticsなど小径の場合は良いですが、DD6などでは実はウェッジしてしまっており気づいたときには血管がかなりスパズムを起こしているというケースも有りました。

DD6を使う場合はDD6の誘導後すぐに逆血確認と確認造影を行う必要があります。

マイクロカテーテルの誘導後

マイクロカテーテルはワイヤー先進での誘導と血流で誘導させるタイプのものがありますが、多くの場合これも持続灌流がついていることが多いと思います。(主には血栓予防しワイヤーとの摩擦をへらすため)

誘導が終わったあと動脈瘤コイル塞栓術ならコイルを挿入したり、血栓回収療法ならステントリトリーバーを挿入したり、経動脈塞栓術の場合は液体や固体の塞栓物質を注入したりする場合です。

コイル塞栓術以外の場合はマイクロカテーテル造影をしたくなるものですが、その時が逆血確認をするタイミングです。
マイクロカテーテルからの逆血は血流量が少なく、細径のため圧抵抗も高く速度はゆっくりですがジワーと逆血があることを確認しなければなりません。

マイクロカテーテルレベルの細いカテーテルになると容易に標的血管の本幹ではなく細い分枝に先端が入っていることは起こりえます。

例えば塞栓物質を注入する場合マイクロカテーテル自体がある程度の圧をかけなければ注入できないため抵抗感では分枝にいるのか本幹いるのかの判別は難しいのです。

以下は鼻出血の塞栓のために顎動脈へマイクロカテーテルを誘導し、逆血がかなり渋い状態で造影をしてしまった例です。
おそらくマイクロカテーテル先端が分枝に入っていて圧入されたため分枝が破綻したと思われます。

この例ではマイクロカテーテルを少し戻して本幹へ復帰することができ、無事塞栓できていますが内頚動脈系などでは大変なことになるところでした。

  • 逆血確認はウェッジや分枝迷入などが無いか確認するため重要
  • 誘導時に灌流ラインがつながっているカテーテルは忘れられがちで注意
  • 迷ったら灌流ラインを外して逆血確認を

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