バイパス時の針糸の取り扱い~使用器具~

バイパス時の縫合糸の扱い方

STA-MCAバイパスなどで使用される糸は細く、10-0 ナイロンや11-0 ナイロンが使われることが多い。
初学者は針糸の扱いに戸惑うことで時間をロスすることが多く、実際の吻合作業より時間が取られることも多い。
今回はどの器具を使うかにスポットを当ててみる。それぞれの項目から詳細ページへ飛ぶようになっています。

どの器具を使うか

針糸を扱う器具に何を使うかであるがマイクロのピンセットか持針器、そして専用のピンセットを使うことがほとんどであろう。

通常のマイクロピンセット(ジュエラーピンセット)


いわゆる0ピンセットや3番ピンセットなどと言われる汎用のマイクロ用ピンセットである。
特徴としては他に比べると安価であり手に入りやすく、開閉がわかりやすく操作がしやすい利点を持つ。血管の壁を操作することも容易である。非利き手はピンセット系を持つことが多い。
ただし把持力が弱い、ピンポイントでないとつかめない、針を持って操作できる角度は限られている、先が細いものほどシザーリング(先が交差)してしまうなどの弱点がある。

ピンセットの扱いの詳細はこちら

持針器


マイクロ用の持針器でペンホルダーで持つことができる。
先端が少し曲がっていることが多く、ラチェットの有無、先端の形状などでバリエーションがある。
値段は比較的高価であり、他の用途には使えない。
ラチェット有りは特に操作感がダイレクトではなく慣れが必要であるし、ラチェットを外すときにブレたりしやすい。
しかし把持力は抜群であり、持てるポイントも広くなる、針の保持角度もかなり自由となる(特にラチェット有り)などの替えの効かない利点もある。

専用のピンセット


各社から出ているバイパスに特化したピンセット(例:Super Bypass シリーズ, 高山医療機械製作所)がある。
基本コンセプトとしてはピンセットと持針器の中間を目指しいいとこ取りをしようとした製品である。
値段はやはりかなり高価である。
先端がやや太くなり平面で合うようなプラットフォームになっているため把持力が強くなり、把持できる点も広くなっている。そのため強めのピンセットとしてバイパス以外でも使用は可能。
そして何らかのシザーリング防止機能がついていることが多い(初代のモデルではまだ防止機能が弱くてシザーリングしていたが最近のSuper Bypassはほぼシザーリングしない)。
ただし先端がやや太いので血管壁側を扱う際には工夫が必要である(後述)。
正直値段の問題さえなければ初学者の練習もこれを使用することで捗ることこの上無いと思う。

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